子どもが不登校になったとき、「今うちの子はどういう状態にいるのか」「どんな関わり方をすればよいのか」という問いが頭から離れない保護者の方は多いでしょう。
この記事では、不登校の経過を5つの段階として整理したフレームワークをご紹介します。これはある特定の子どもに当てはまる診断ではなく、「多くのケースで見られる状態の変化」を大まかに整理したものです。お子さんの状態を正確に分類するためのツールではなく、「今どのあたりにいるかのヒント」として活用してください。なお、不登校の定義や現状については不登校とは?文科省の定義とよくある誤解もあわせてご覧ください。
また、これらの段階は順番通りに進むわけではありません。 回復期のように見えた後に混乱期に戻ることもあります。それもよくあることであり、後退ではありません。
この記事の要点
- 不登校には「前兆期→混乱期→安定期→回復期→成長期」という段階の変化が見られることが多い。
- 各段階で子どもが求めるものは異なり、保護者の関わり方の方向性も変わってくる。
- 段階の分類より「今の子どもに何が必要か」を優先することが大切。
5段階のフレームワーク概観
01
前兆期
変化のサイン
が現れ始める
02
混乱期
行けなくなり
気力が低下
03
安定期
家での生活が
落ち着いてくる
04
回復期
外への関心が
戻り始める
05
成長期
自分なりの
一歩を踏み出す
保護者の方へ: このフレームワークは、親御さんがお子さんの状態を理解するための補助線として活用することを想定しています。お子さん本人に読ませる場合は、「これは分類ツールではなく、多くの場合に見られる様子の目安」であることを事前にお伝えください。
01 前兆期 — 変化のサインに気づく
この段階のサイン
- 朝になると腹痛や頭痛を訴える日が増える
- 「なんとなく元気がない」「表情が暗い」
- 「学校に行きたくない」と言い始めるが、何とか登校している
- 休み明け(月曜日、長期休暇明け)が特につらそう
保護者の関わりの方向性
この段階では、変化に気づいて「何かあったのかな」と声をかけることが大切です。すぐに解決しようとせず、「最近しんどそうだね、何かあった?」くらいの問いかけから始めてみましょう。子どもが話せないときは、話せないことを責めないことも重要です。
02 混乱期 — 行けなくなった直後
この段階のサイン
- 学校に行けなくなった(欠席が続いている)
- 気力・体力が低下し、ほとんど横になって過ごす時間が多い
- 将来への不安や自己否定の言葉が出る
- 怒りやすくなる、泣きやすくなるなど感情の波が大きい
保護者の関わりの方向性
この段階では、「まず安心できる場所をつくること」が最優先です。登校を促したり、理由を問い続けることより、「休んでいい、そばにいる」と伝えることが助けになります。学校とのやりとりは保護者が引き受け、子どもが対応しなくてすむようにしましょう。
03 安定期 — 家での生活が落ち着く
この段階のサイン
- 生活リズムが少し整ってくる
- ゲームや動画など、自分が好きなことに時間を使えるようになる
- 表情が柔らかくなってくる
- 学校の話には反応しにくいが、日常の会話ができるようになる
保護者の関わりの方向性
この段階では、エネルギーが少しずつ回復している状態です。「早く動き出してほしい」という気持ちが保護者に芽生えやすい時期ですが、焦りを出しすぎると子どもが萎縮しやすくなります。一緒に食事をとったり、子どもが話しかけてきたときに自然に応じるくらいで十分です。
04 回復期 — 外への関心が戻る
この段階のサイン
- 「友達に会いたい」「外に出たい」という言葉が出始める
- 学校や勉強の話題を自分から出すことが増える
- 少しずつ動ける時間が増える
- ただし、動き出そうとしてうまくいかないと落ち込みやすい
保護者の関わりの方向性
この段階では、子どもが「次の一歩」を考え始めています。急かさず、子どもが「これやってみたい」と言ったことを一緒に考えるスタンスが助けになります。通信制高校やフリースクールの見学など、具体的な選択肢の情報を提供するのもこの段階が適切です。
05 成長期 — 自分なりの一歩へ
この段階のサイン
- 学校・通信制高校・フリースクールなど、何らかの場所への一歩を踏み出す
- 自分のペースで物事を進められるようになっている
- 「あの経験があったから今がある」という言葉が出ることも
保護者の関わりの方向性
一歩を踏み出したからといって、すぐに元通りになるわけではありません。失敗しても責めず、試行錯誤を見守るスタンスを続けることが大切です。「また休んでもいい」という雰囲気を保ちながら応援することが、長続きにつながります。学校の選択肢として通信制高校やサポート校の活用を検討し始めている場合は、子どものペースに合わせて情報収集を始めることができます。
段階は行き来するもの
このフレームワークで大切なのは、「うちの子は今○段階」と決定することではありません。多くの場合、子どもは回復期に見えたあとに混乱期に戻ったり、同じ段階に長くいたりします。
「後退している」のではなく、そのような経過をたどりながら少しずつ自分を取り戻していくことが、不登校からの回復の自然な形です。
気持ちの整理が難しいとき
「今お子さんはどの段階にいるのか」「どう関わればよいのか」迷ったときは、教えてkokoneに相談してみてください。
深刻な状況(強い自傷念慮・家庭での安全が心配な状況)がある場合は、以下にご連絡ください。
- 24時間子供SOSダイヤル(文部科学省):0120-0-78310
- よりそいホットライン:0120-279-338
よくある質問
Q. 子どもが「どの段階にいるか」を子ども本人に伝えるべきですか?
A. 伝える必要はありません。このフレームワークは保護者が状況を理解するための補助線です。子どもに「あなたは今○段階だ」と伝えることで、子どもがプレッシャーを感じたり、レッテルのように受け取ったりする可能性があります。
Q. 1年以上同じ段階に留まっています。おかしいでしょうか?
A. おかしくありません。段階の速さは子どもによって大きく異なり、時間がかかることは珍しくありません。長く同じ段階にいると感じるときこそ、専門家(スクールカウンセラーや地域の教育相談窓口)に相談することをお勧めします。
Q. この段階に沿った対応をすれば、回復は保証されますか?
A. このフレームワークは回復を保証するものではなく、傾向の整理です。子どもの状態はひとりひとり異なるため、個別の状況に合った専門的なサポートが必要な場合もあります。初期の段階で何をすればよいか迷っている場合は、不登校の初期対応:やってしまいがちなことと助けになる関わり方もあわせてご参照ください。
監修:土屋マサヨシ氏(エジソン教育研究所所長)
20年近く不登校に悩む親子に向き合ってきた教育の専門家。著書に『30分で不登校がわかる』シリーズがある。
