子どもが学校を休みがちになったとき、「これは不登校というのだろうか」「うちの子に限ってそんなことは……」と戸惑う保護者の方は少なくありません。この記事では、不登校の定義と現状、そしてよくある誤解について整理します。
この記事の要点
- 文科省は「年間30日以上学校を欠席した状態(病気・経済的理由を除く)」を不登校と定義している。
- 不登校の背景はひとつではなく、身体・心理・環境・人間関係など複数の要因が重なることが多い。
- 「甘え」「怠け」という見方は、子どもの状態を正確に捉えていないケースがほとんど。
文科省による「不登校」の定義
文部科学省は、不登校を次のように定義しています。
年間30日以上欠席した児童生徒のうち、病気や経済的な理由によるものを除いたもの
30日というのはひとつの目安であり、「29日休んでいれば問題ない」というものではありません。この定義は統計上の分類として使われており、支援が必要かどうかは日数だけで判断されるわけではないことを覚えておいてください。
また、「不登校」という言葉は、子どもの性格や家庭環境を批判するものではなく、状態を表す言葉として使われています。
不登校の現状
学校を長期欠席する子どもの数は、近年増加傾向にあります。文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」(令和7年10月29日公表)によると、小・中学校の不登校児童生徒数は353,970人(前年度346,482人)で過去最多・12年連続増加です。小学校では約44人に1人(2.30%)、中学校では約15人に1人(6.79%)にのぼります。高等学校の不登校生徒数は67,782人(前年度68,770人)で微減しているものの、依然として多くの生徒に影響しています。不登校はもはや「特別なケース」ではなくなっています。
不登校を経験した子どもや大人は今、社会の各所で活躍しています。不登校は、その後の人生を決定づけるものではありません。初期に保護者がとりがちな対応と、助けになりやすい関わり方については不登校の初期対応ガイドで解説しています。
よくある誤解
誤解1:「甘えではないか」
不登校になった子どもに対して、「学校に行きたくないだけ」「少し厳しくすれば行けるようになる」という見方をされる場合があります。
しかし、多くの場合、子どもは「行きたいのに、どうしても体や気持ちが動かない」という状態にあります。朝になると腹痛や頭痛が起きたり、玄関の前で動けなくなったりするのは、意志の弱さではなく、身体や神経系が発しているサインであることが少なくありません。
「甘え」という言葉で片づけると、子ども自身も「なぜ自分はこうなんだろう」という自己否定を深めてしまいやすいため、慎重な判断が必要です。
誤解2:「怠けている」
「ゲームばかりしているから行けないのでは」という見方も、保護者の方がつい抱きやすいものです。
家でゲームや動画を見て過ごすことが多いのは、それが唯一安心して過ごせる場所になっているからというケースが多くあります。「ゲームをやめさせれば学校に行ける」という因果関係は、正確に当てはまらないことがほとんどです。
誤解3:「親の育て方が問題」
保護者自身が「自分の育て方が悪かったのでは」と深く自責されるケースもあります。
もちろん家庭環境も影響のひとつにはなりえますが、不登校は特定の家庭のみで起きているわけではなく、多くの家庭で起きています。自責よりも、今どう関わるかに目を向ける方が、子どもにとっても保護者にとっても助けになります。
不登校になる背景はひとつではない
不登校の背景として、以下のようなものが挙げられることがあります。
- 友人関係や人間関係のこじれ
- 学習面での困難やつまずき
- 部活動・課外活動に関わるストレス
- 先生との関係が難しくなった
- 体調不良が続いている(睡眠・食欲・倦怠感)
- 発達の特性から学校環境が合いにくい
- 家庭環境の変化(転校・引越し・家族の変化)
これらはひとつだけが原因になることは少なく、複数の要因が重なって「行けない」状態になることがほとんどです。また、本人自身も「なぜ行けないのか」をうまく言語化できないことが多くあります。
深刻な状況でお困りの方へ
お子さんの様子が急変したり、強い拒絶や自分を傷つけるような言動が見られるときは、早めに専門機関にご相談ください。
- 24時間子供SOSダイヤル(文部科学省):0120-0-78310
- よりそいホットライン:0120-279-338
よくある質問
Q. 欠席が30日に満たなくても、相談や支援を受けられますか?
A. 受けられます。欠席日数が定義の30日に届いていなくても、学校を休みがちな状態が続いているなら、担任や学校のスクールカウンセラー、地域の教育相談窓口に相談することができます。早めの相談が、子どもの負担を軽くすることにつながるケースも多くあります。
Q. 本人に「不登校」という言葉を使っていいですか?
A. 使わなくてよいことがほとんどです。言葉の受け取り方は人によって異なり、「不登校」という言葉をレッテルとして感じる子どもも少なくありません。まずは「今、学校がしんどいよね」という事実を受け止めることが大切で、言葉の定義の話は後でよいことがほとんどです。
Q. 学校の先生に相談すべきですか?それとも専門家に?
A. 状況によります。まず現在の担任や養護教諭(保健室の先生)に現状を伝えることで、学校側の配慮や対応が変わることがあります。心理面で深く関わりたい場合は、スクールカウンセラーや外部の相談窓口も活用できます。どこに相談すればよいかわからないときは、教えてkokoneに気軽に質問してみてください。状況の変化に合わせた関わり方のヒントは、不登校対応の5段階フレームワークでも整理しています。また、通信制高校への転入など学校の選択肢については学校の選び方ガイドも参考になります。
監修:土屋マサヨシ氏(エジソン教育研究所所長)
20年近く不登校に悩む親子に向き合ってきた教育の専門家。著書に『30分で不登校がわかる』シリーズがある。
